産業保健師はやりがいのある魅力的な仕事です。
しかし一方で大変な所もあり、合わない人には合わない可能性もあります。
せっかく苦労して転職したのにミスマッチだった…ということにならないように産業保健師の大変さやデメリットについて、実体験を含めながらより具体的にご説明していきます。
なおメリットについては、こちらの記事に記載がありますので、併せてご覧ください。
給料が減った
よく「産業保健師は高給」といいますが、一部の超大手企業のみで、年収は400〜500万円台が最も多いと言われています。
一番の大きな要因としては夜勤がないことです。また残業も多くはないので、夜勤や残業代がない分ガクッと年収が下がる場合があります。
産業保健師になって高給取りを目指したい!という方は、入ってから手取り額を見てガッカリしないように、よく募集条件を確認してから応募するのが良いと思います。
その代わり福利厚生が充実している場合が多く、勤める企業の恩恵を受けられる事ができます。
とにかくお金がほしいと言う人は、病院でバリバリ仕事をしていたほうが良いでしょう。
担当管理人数が超増える
病棟では看護師一人あたりの患者の担当人数が決まっていますね。
夜勤の場合は多くて15人と受け持ち人数が決まっていますが、産業保健師は従業員の人数を見なければなりません。
保健師が複数いる場合は人数を割り振られたりしますが、場所によっては3000人以上確認しなければならない場合もあります。
ただし全ての人にアプローチするのではありません。あくまで管理人数が桁違いというだけで、実際しっかりと関わるのはもっと少ないです。
それに、入院患者のような医療職の手を常に必要とする人はいませんので、そこはご安心ください。
1人で全てをやらなければならない
複数人保健師がいるならまだしも、1人職場の場合は、全てを1人でやらなければなりません。
苦手な事もたくさんやらなければならないので、それをストレスに感じることはあります。
私の場合は、面談や資料作成などは得意ですが、雑務処理やメール返信が苦手なので、時々1人で途方に暮れる事もあります。
他人の手を借りるのが苦手だったり元々1人で作業するのが楽という人は逆に良い環境と言えるでしょう。
病院に戻るのは大変
産業保健師は病院業務と比べると、時間や体力的にゆとりが生まれます。
このゆとりに慣れてしまったら、激務な病院に戻るのはかなりしんどいと思います。
また医療現場から離れると、もし戻る時に最先端医療や日々アップデートされる医療のエビデンスに情報収集や技術が追いつかない可能性があります。
ただし、産業保健師から病院に戻るとしたら産業保健師で培った広い視点で患者を看ることができるかもしれません。
複数診療科は人間関係に注意
1人職場ならまだしも複数診療所で働く場合は、人間関係に少し気をつけなければなりません。
病院内は従業員数も多いので、シフトで被らない時があったりするのですが、複数診療所でお局様がいた場合、狭い世界でギクシャクする可能性があります。
求人情報で「この企業はよく募集がでているな…」と気づいたら、条件が良くても注意しましょう。
エージェントさんに応募先の情報について聞いておくとトラブルを未然に防ぐことができます。
産業医と従業員の間に挟まれる
病院には常に医者がいますが、産業医は常駐している事は稀で、基本的に週1〜3日勤務で他の職場の掛け持ちしている事が殆どです。
そのため、短時間で必要な情報ややって欲しいことを効率よく伝えなければならなかったり、診療の補助をテキパキと行う必要があります。
また、従業員と産業医の価値観が合わない事はよくあり、それがトラブルになる場合もしばしばあります。(医者の態度が悪い、従業員の労働環境がなってない等)
両者の価値観のすり合わせを行えるのは産業保健師しかいませんが、すり合わない事も多々あるので、怒りの鎮火作業をするのが大変と言う保健師もいます。
私の知り合いの産業保健師は、産業医と人事が常にバトルしていて、板挟みになっているのが窮屈だという話も聞いた事があります。
こういった場合を防ぐためには面接試験の時に産業医の事について採用担当者に直接聞いてみるのも良いかもしれません。
もし採用担当者が怪訝な顔をしているようなら注意が必要です。
企業内で目立つ
産業保健師は一般従業員と違う格好をします。それが、ユニフォームだったり白衣だったりするとビジュアル的にかなり目立ちます。
従業員と廊下で立ち話をしていると、後でその従業員は「何話してたの?」と探りを入れられることもしばしばあります。(私にも聞いてきます)
目立つというのは、良い影響もたくさんありますが、悪目立ちするとその場から消えたくなる気持ちになります。
目立つのが超苦手でできるだけひっそり仕事したい人は、あまりオススメしません。
人の視線がさほど気にならない、もしくは心地よく感じる場合は全く問題ないと思います。
従業員との意識の違いが大きすぎる
産業保健師は従業員の健康を守るのが仕事ですが、従業員は業務をするために仕事に来ています。
すでにここで意識のズレがあるのですが、いくらその企業が健康経営という経営方針を掲げていても、実際には利益優先で健康経営や産業保健については後回しにされがちです。
例えば産業保健の観点から、メンタルヘルスに力をいれる必要があると思って説明しても、役員などの経営層が動かないと、こちらも思うように動けません。
その他にも特定保健指導で何度呼び出しをしても来ない、ノーばかり言う上司、産業保健に無関心な従業員…
仕方ないとは思いつつ、思うようにいかない事も多くあります。
やりたいことを押し通したいと思う人は、強い意志も大切ですが、たくさんの高い壁にぶつかる可能性は高いでしょう。
逆に高い壁を登るのが好きだったり、産業保健のビジョンを明確にもっているのなら、かなりやりがいのある仕事と言えるでしょう。
相手を理解する事ができる人、人心掌握術が得意だったり、縦社会に慣れている人はうまく気持ちに折り合いをつけることはできると思います。
存在意義について悩むことがある
これは企業の職場風土によると思いますが、時々産業保健師っている意味があるのか?と思う場面があります。
例えば、労災が発生した際は管理者だけで解決していたり、コロナ対策を産業医や産業保健師の意見を聞かれる事なく対策案を立案していたりなど、医療従事者に頼るべき場面でも、何も出番がないまま…という事が多々あります。
おそらくそういった背景には、企業側が医療従事者の扱い方がわからないというのが理由にあると思います。
こちらも「こんな時は頼ってください」と言っているのですが、中々浸透せず。
しかし少しずつ良い職場風土の形成に関与できるように、日々の関わりを大切にできたらと良いなと思っています。
理解者が少なすぎる
産業保健師はまず働く人数が少ないです。全国でも3700人しかいないので、仲間を探すのがまず大変です。
1人職場はもとより同僚がいても、職場が違うと職場環境も全然違うため、同じ産業保健師なのに話が合わないこともあります。
悩みがあったとしても、個人情報を扱う仕事なので、安易に職場の人にも話せず1人でモヤモヤすることも多々あります。
産業保健の学会などでは、ベテラン保健師さんがたくさんいるので、話を聞いてもらうことはできます。しかし基本的に産業保健師はストレスを自分の力で解消するしかありません。
自分で自分の機嫌を取る
これは産業保健師に限らず大事なスキルなので、意識しておくと良いでしょう。
気になるなら挑戦してみる
産業保健師は病院と違った大変さがあるという事を少しご理解いただけたかと思います。
読んでみて「私には合わないな」と思うのであれば、違う道を探すほうが良いでしょう。
「〇〇は嫌だけど、事前に確認すれば大丈夫そう」「やっぱり気になる」と思うのであれば、尻込みせずに産業保健の道に進むことをオススメします。
とはいえ、ここまで調べて最後まで読んでいるあなたは、既に産業保健師にかなり強い興味を持っているのではないでしょうか?
ここに記載したことは私の体験談や産業保健師の知人の体験談を多く含めた内容になっていますが、働く人によってメリットデメリットの具合は違ってきます。
メリットについてはこちらの記事もご覧ください。
産業保健師は大変なところもあるけど、看護師よりかは体力・精神的に楽で、やりがいがあり自分に合っている仕事だと感じます。
やってみたいと少しでも思ったらとりあえずやってみる。少しでも動いてみる。挑戦してからやっぱり辞めたでも全然いいと思います。
ぜひ挑戦してみましょう!
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