産業保健師への転職を考えたとき、看護師としてのスキルはどの程度必要なのでしょうか?
明確な基準というのが他のウェブサイトを探しても見つからず、イマイチ自分自身の看護師のスキルに自信が持てないから、私には無理だと思って転職を諦めてしまう人は結構いるかと思います。
今回は、看護師として必要なスキルと、考え方についてお伝えします。
必要なスキルと考え方を知ることで、自分のスキルはある程度満たしているかどうかわかりますし
考え方を知ることで、より産業保健師の転職にチャレンジしたくなること間違いなしです!
産業保健師の転職に有利な診療科ってあるの?
まず、あなたが所属している診療科は果たして産業保健師の転職に役に立つのか?有利になるのか?という疑問を持つと思います。
それに対する答えは「どの診療科でも必ず役に立つし、そもそも診療科の特徴を一般人は知らないから良いも悪いもわからない」という事です。
私は循環器内科、心臓血管外科出身です。医療職から見たら良くある診療科の一つですよね。
ところが一般人からしたら「心臓血管外科は心臓の事かな⁉︎でも循環器内科って何?」って本気で知らないのです。
皮膚科、眼科など臓器名がある診療科は一般人も理解しやすいですが、糖代謝内科はわかりません。
OPE室はよくドラマで出てくるからギリギリわかるけど、ER・ICUなどの横文字はビックリするほど知りません。
整形外科と形成外科、内科と外科の違いもわかってません。
え?やばい私の診療科が内分泌内科だから絶対知らないじゃーん‼︎
大丈夫です。転職を考えるあなたの診療科がマイナーでも落ち込む必要は全くありません!
なぜならどんな診療科であれ強みと弱みがあり、現場では全ての病気および対人スキルを広く知る必要があるからです。
え?私の頭で大丈夫かな?
私も転職時に思いました。今でも思ってます。←
なので、日々反省と勉強でなんとかしています。
筆者の頭脳レベル
ここで自己紹介がてら筆者の頭脳レベルをご紹介します。
筆者の頭脳レベル
- 高校時代に受けたTOEICは驚異の228点(ほぼドン底)
- 算数できない。酸素ボンベの計算が何度教えられてもわからない。
- 高校偏差値60。大学入試当日は発熱しながら受験し、奇跡的に合格。
- 大学偏差値は約50で成績は中くらい。成人看護の実習単位落とした。
- 看護師の業績はなし。ミスが多く「おいポンコツ」と先輩から言われてた。
頭は決して良くは無いね。笑
直感と感情と勢いで生きてきた筆者は、論理的思考に欠けています。
それでも、なんやかんやで大きな事故を起こす事なくやれています。
私がなんやかんややれている理由としては、必要なスキルをトライアンドエラーで身につけ、保健師として必要な視点をなんとなく学び、看護学生時代に学んだことを思い出し、自分の健康哲学に基づいて行動しているからだと思います。
看護師として必要なスキル
必要なスキルはなんですか?と言われたら、私は全てです。と答えます。
しかし、これは転職先が複数診療所だったり、産業医が常任しているかどうかで、使うスキルが大きく変わってきます。
複数診療所かつ産業医が常任(常にいること)の場合は、外来看護師的なスキルを持ちつつ、先輩保健師にうまく取り入れらられるコミュニケーション能力があれば十分だと思います。
従業員と密接な看護を行うというよりも、保健指導をやりまくるという形式的かつ事務的な作業が中心になっていきます。
複数診療所に特に必要なスキル
効率よく仕事できる人、人に入れ込みすぎない、バランス能力、ホウレンソウがしっかりできる、先輩や上司に気に入られる愛嬌
一人診療所かつ非常勤産業医の場合は、様々な従業員と密接に接するため、傾聴スキルを基本としつつも広く病態を理解する必要があります。また、
仕事は全て一人でこなすというセルフマネジメント能力が問われるので、いかにダレずに仕事ができるかポイントです。
一人診療所に特に必要なスキル
計画実行能力がある、問題解決能力がある、一人一人に深く関われる人、自分の判断に責任が持てる、セルフマネジメント能力がそこそこある
私の場合は際立って良いスキルを持っているとは言えませんが、素直すぎて人の地雷をつい踏んでしまい怒られるいわゆるデリカシーがない人間なので、複数診療所には向いていないと言えます。
産業保健師として必要な視点
看護師として必要な知識は何か?それは全ての診療科を一通り覚えておく必要があります。
全てってめちゃ大変じゃん…
しかも病院と違って検査機器がないので問診と、過去の検診データとフィジカルアセスメントで考えなければなりません。
ただ、そう難しく考える必要はありません。
産業保健師が考えるべき事は以下の3つです。
産業保健師が考えるべきこと
- 医療機関に行くべきなのか
- 緊急性が高いのか
- どの診療科に行くべきなのか
産業保健師として働く上では、この3つを判断すれば良いのです。
それぞれ解説していきますね。
1.医療機関に行くべきかどうか
医療機関に行くべきかどうかというは、クライエントが訴える症状が医師の検査や診察を受けて、内服加療が必要そうかを見極めます。
一つの症状だけでもさまざまな要因があるので、症状の要因をしっかり確認することがとても大切です。
例えば、頭痛を訴えるクライエントに対してあなたは何を考えますか?
デスクワークの周辺環境が悪く肩こりからくる頭痛なのであれば、肩のストレッチや環境設備改善の提案をまずはします。
生理前に伴うものならPMS症候群を疑い婦人科に相談。
重症高血圧や、嘔吐が伴っていたら、くも膜下出血疑いとして緊急搬送します。
なるほどね
あとは人で見分けます。
人?!
よく来所してくれる人は、ちょっとした相談程度で軽症であることが多いです。
そのため、話を聞いて少し助言をする程度で済むことが多いです。
逆に忙しい人や普段来ない人が来た場合は、今までずっと我慢したけど症状が改善しないから勇気を出して来ましたというパターンで、中症以上の場合が多いです。
ただし人で判断するのは、ある程度勤めないとわかりません。
最初の間は人で判断しないようにしましょう。(これ大事)
2.緊急性が高いのか
緊急性の判断についてはJTASレベルをおさらいしておきましょう。JTASは、もともとカナダ使用されていた緊急度判定システムCTASの日本版です。
基本的にここまで緊急度の高い人がくるのは稀ですが、知っておいて損はありません。
JTASはプロバイダーコースもあるので、資格があるとより良いでしょう。
現地開催の場所は今年度は神奈川県、岡山県、鳥取県と限られていますが、オンラインコースも豊富にあります。
https://jsem.me/training/ctas/learn.html
判断に迷ったら#7119に連絡し、指示を仰ぐ方法もあります。#7119とは急な怪我や病気になったときに、すぐに救急車か、病院に行くべきか迷った時に専門家が電話で応えてくれるサービス事業のことです。
自分一人だけの判断では難しい場合には、ぜひ利用してみてください。
ただし、この#7119は全ての自治体が活用できるわけではありません。勤務地の都道府県が適応になっているかは公式サイトにてご確認ください。
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/ts/ems/page03.html
3.どの診療科に行くべきなのか
緊急性は高くないけど、病院に行く必要がある場合、何科に行くべきなのか迷うと思います。
例えば、「無理な姿勢をとって腰を急に痛めた」と単一症状で要因がはっきりしている場合は、整形外科のクリニックを案内します。
もし既往にヘルニアがあるなら、手術を視野にいれて総合病院に案内します。
なお、最初から大学病院を勧めてしまうと、紹介状がない初診料は高額となってしまうため、おすすめはしません。
私が医療機関を探すときはGoogleマップを使っています。
「〇〇科」と調べて、クライエントが通いやすい所を探し、目星がついた医療機関を調べます。
その医師の出身科や口コミなどを確認しておく事で、少しでもクライエントにマッチした医療機関を案内するようにしています。
口コミについては、クライエントからも受診したフィードバックをもらいます。良い医療機関を知っておく事は大切です。
迷うくらいなら最初から病院案内すればいいんじゃないの?
確かに何でもかんでも病院に案内すれば良いかもしれませんが、私たちは保健師であり病気を予防する事が役割です。
日本の医療費負担額を少しでも減らしてクライエントのQOLを向上させるのが私たちなのです。
ただ病院を案内するだけ。すぐに先生に診せる、産業保健師は産業医の診療の補助をするだけなら、保健師が企業にいる意味がないと思っています。
それによっぽどの難病じゃない限りは、過去に国家試験で勉強した症状が素直に出ている場合が多いです。
緊急度が低い場合や受け答えができるレベルの症状なら、医者よりも丁寧に問診をすることで、答えはある程度絞り込むことができます。
それに問診してたつもりが、だんだん仕事の愚痴を聞くことに移行して、しばらく愚痴ったら症状がなくなってたという事もよくあります。
私は出身診療科はわかるけど、それ以外の病態は自信ないよ。勉強した内容思い出さないよ〜
大丈夫です。あなたが持ってる例のアレが大活躍します。
みんながもってるアレが活躍‼︎‼︎
個人的に重宝したのはレビューブックです。
皆さんレビューブックはもう捨ててしまいましたか⁈記念にとっておいてあるならばっちりです。
看護師国家試験のお供であるレビューブックといえば色々書き込んだり、友人のレビューブックが印刷文字よりも小さい文字でびっしり書いているのをみて畏敬の念をいだいたりしていましたよね。
もし病態についてあやふやにしか思い出せない時は、広く浅くポイントを掴んだあの本に書かれてある事を、
あなたの学生時代の思い出と共に思い出せば良いのです。
私は職場に置いて気になった時にパラパラとめくっています。
webで調べても良いのですが、やはり思い出と共に知識を振り返るほうが、脳内記憶に結びつきやすいです。
またクライエントの目の前で調べて、レビューブックの中身を一緒に確認したりすると、クライアントは「すごい勉強してるんだなあ」と私に対して錯覚してくれることもあります。笑
新しく勉強するなら東洋医学
個人的に気になるのは東洋医学です。
クライエントの中には「検査データは異常なし、生活習慣もさほど悪くなく、ストレス値も高いわけではないのに、調子が悪い。医療機関で薬をもらっても良くならない」という人が一定数います。
クライエントも医者も看護師もわからないという場合は、東洋医学に強い医療機関に勧めてみると良いでしょう。
東洋医学は、伝統的な東アジアの医療システムであり、中国の伝統医学や日本の漢方医学などを含みます。
以下に、東洋医学の良さをいくつか紹介します。
- 総合的なアプローチ: 東洋医学は、病気や不調を単一の要因によるものではなく、全体としてのバランスや調和の欠如と考えます。身体、心、そして環境の要素をトータルで評価し、バランスを取ることを重視します。
- 個別化された治療: 東洋医学は、個々の患者の状態に合わせて治療を行います。全体の状態、体質、生活習慣、症状などを総合的に評価し、個別の治療計画を作成します。これにより、患者一人一人に適した治療を行うことが可能です。
- 自然療法: 東洋医学では、自然療法を重視します。薬草や食事療法、針や圧の刺激など、自然の要素を活用した治療法が多くあります。これにより、薬物依存や副作用のリスクを減らすことができます。
このように、現代人のよくわからない症状に東洋医学の視点を当てることで、全人的かつ根本的に解決するきっかけとなるでしょう。
しかしながら、東洋医学は西洋医学とは異なる考え方や方法論を持っています。
西洋医学の進歩により、東洋医学の一部の治療法は科学的な裏付けが不十分であるとされることもあります。
例えば漢方薬については本当に効くの?と懐疑的になることはあるとは思いますし、足ツボって言いがかりじゃないの?と、思うことはあると思います。
それらについては、様々な研究機関で研究中の段階にあるため、今後の研究結果を確認はするべきだと思います。
いずれにせよ全人的に観察することや自然療法を推奨することは西洋医学よりもずっと目の前のクライエントの満足度は違いますので、概念だけでも知っておくことをオススメします。
まとめ
まとめ
- 産業保健に強い診療科はない。それぞれの診療科に強みと弱みがある
- 必要なスキルは全てだが、複数診療所と一人診療所では使うスキルが異なる
- 産業保健師として必要な視点は医療機関に受診すべきか、受診するならどの診療科かというのを判断すること
- 看護師の知識はレビューブックで学んだことを思い出せれば、ある程度は大丈夫
- よくわからない病状の場合は東洋医学も勉強して全人的に診れるようにする
いかがでしたか。意外とイケる気がしませんか?
要は、産業保健師として必要な基礎知識やスキルはすでに学生時代や臨床にて学んでいます。
自分の強みを活かせるところを探し、思い出しながら現場で経験を積めば良いのです。
「看護師は一生勉強」結局はこれに縛られるのです。笑
勉強したことを思い出していきましょう!!
特別なスキルがなく未経験だった私がなぜ産業保健師になれたかについては、以下の記事に記載してありますので、よろしければご参照ください。
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